学術集会会長あいさつ

第4回日本メディカルAI学会学術集会
大会長 田宮 元
(東北大学医学系研究科/理化学研究所AIPセンター)

日本メディカルAI学会第4回学術集会のご案内

2022年6月10日から11日の期間に、日本メディカルAI学会の第4回学術集会を、宮城県仙台市トークネットホール仙台(仙台市民会館)にて、開催する予定でおります。第1回と第2回の学術集会は都内で、第3回はコロナ禍のために完全オンラインで実施されましたが、第4回学術集会は、仙台での実施を軸に、一部オンラインとのハイブリッド形式での開催を予定しています。都内で行われた過去2回の学術集会では、会場に詰め掛けた人々の熱気から、予想以上に多くの人たちがメディカルAI分野に関心を持ち、期待してくださっていることを実際に感じることができて、私自身が強い衝撃を受け、日本メディカルAI学会の理事としての責任を再確認したことを覚えています。第1回会場となった築地国立がん研究センターは、どこも集会参加者であふれ、多くのセッションで、立ち見さえ限界となり、誰かにぶつけずに会場のドアを開けることもできないほどでした。リアルでの人と人との交流はやはり有効で、単なる知識や情報を得ること以上の意味を持つことを認識したところですが、他方で、井元大会長の多大なるご尽力によって完全オンラインで無事に開催された第3回学術集会では、オンラインならではの良さを知ることもできました。特に、普通では、ご足労いただけない方たちも比較的気軽に参加できること、また、セッション後のチルルームでの会話やチャットでの気軽で迅速な情報交換など、リアルではなかなか得られない利点があることを初めて知りました。このような先達の成果から学び、第4回学術集会では、リアルでの交流とオンラインの便利さを織り交ぜて、ハイブリッド形式での開催を予定する次第です。

改めてみれば、第4回学術集会は、日本メディカルAI学会設立以来、初めて地方で行われるものであり、メディカルAI分野の全国的な普及を象徴するものとなることを期待しています。我が国は、2040年ごろには地方自治体の半数が消滅の危機に立たされ、2050年ごろには現在居住地域の20%が非居住となることが予想されており、少子高齢化の深刻化にも伴って、地方での大きな医療課題が顕在化しつつあります。このような状況の中で、困難な医療課題に立ち向かう一つの処方箋となることも、メディカルAI分野に求められています。具体的には、メディカルAIを利用したより効率的な医療サービスの実現や、そのようなサービスを実現できる医療人材(医療従事者や企業人、自治体関係者)の教育が喫緊の課題とされています。そこで、初めての地方での開催となる第4回学術集会では、このような地方での(ある意味では世界的に普遍性を持つ)課題や解決法について学び、身近に見学できる機会を提供したいと考えております。

最後に、第3回学術集会での浜本理事長による特別講義でも詳しくご説明のあった通り、メディカルAI分野はこれまでのブラックボックスAIから、説明可能AIへと大きく進歩を遂げつつあります。このことは、一つには、メディカルAI技術のさらなる実用を促すとともに、メディカルAI技術の発見的な利用にも応用されていくと期待されています。このような発見的なメディカルAIの利用は、実際には山本理事たちによって世界に先駆けて志向・実践されてきたものでもあり、今後のメディカルAI分野において非常に有望な方向性と考えることができます。これらのことから、第4回学術集会では、そのテーマ名を「メディカルAI教育から発見的利用まで」とさせていただきました。そして隠されたもうひとつのテーマは「再会」だと考えています。6月の東北仙台は、一年で一番過ごしやすく気持ちの良い季節です。会場は、広瀬川沿いで、繁華街も近く、風向明媚な立地です。このような環境で、メディカルAI分野を志し、活躍されている皆様と再会できることを願っております。